どうしてきみは、ボクを選んだんだろう。だって、きみはボクの片割れとも長い付き合いだし、ボクの片割れだって、きみを大切にしてる。
きみだって、ボクの片割れを大切にしているだろう?
ボクたち3人は同じくして出会って、君がボクを選ぶまでは同じようにして過ごしてきた。

なのにどうしてだろう?
きみが選んだのは、トキヤじゃなくて、ボクだった。ボクはとっても嬉しいし、幸せだし、トキヤには渡したくないって思っていたからなにも不満なんてないけれども。
それでも、なんで何でも出来るトキヤよりも、何もできないボクを選んだのか、とても不思議なんだ。
たしかに、ボクは誰よりも君を大切にしてて大好きだっていう自信はある。でも、いつか何も出来ないボクに呆れて、何でも出来るトキヤを選んでしまうのではないかと思うと、ボクは不安でならないんだ。

「どうしたの?」
「え?」
「ひどい顔してる」
「そ、そうかな」
「アイドルなんだから、お外ではそんな顔しちゃだめよ?」

なんできみはそんなに優しい笑顔をボクに向けるんだろう。
幸せすぎて爆発してしまいそうだ。
ああ、どうかボクを見捨てないで。
本当はこんなに弱くて脆いボクを、どうか嫌いにならないで。
きみがいれば、ボクはなにもいらないから。

ちゃん」

きみの前でぐらい、少しだけ弱いボクを見せてもいいだろうか。ボクを嫌いにはならないだろうか。

「大丈夫だよ、ずっと一緒だよ」



きみはぼくをしっていますか





ボクの心を見透かしたようなきみの声を聞きながら、ボクは心がじんわりと温かくなるのを感じた。



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