ちゃんが怪我をした。足を踏み外して階段から落ちたのだ。
捻挫らしい。全治2週間。

ちゃん!!大丈夫!?」
「わっ」

仕事が早めに終わったから、ボクは急いでちゃんの家に駆け込んだ。合い鍵はバッチリ。彼女はボクの登場に少し驚いていた。その足には湿布。ソファに両足を上げて座り、本を読んでいた。

「ハヤト…仕事は?」
「今日はもう終わったんだよぅ!それより足どうなの!?痛い…?」
「そりゃ痛いかな」

ああっかわいそうなボクのちゃん…その綺麗な足を撫でようと手を伸ばすと、彼女にぺしりと叩かれた。

「変態」
「なっ!ひどいにゃあ!ボクはちゃんにいたいのたいのとんd」
「そんなことしなくてもいいから。触らないで」
「う…うぅ…」

ちゃんが足を上げているから、ボクがソファに座れるスペースはない。しゅんとしながらソファの前に腰をおろした。なんだろう、ボクなにしにきたんだ。ちゃんが少しでも痛くなくなるようにしてあげたかった。すごく心配で、心配で。それだけで来たんだ。具体的に何をしにきたわけじゃなかった。

「…ハヤト」
「え…?」
「ベッドまでつれてって」
「えぇ!?そそそそんな足痛いのにそんなこt」
「ちがう!その…このままじゃ抱きしめるのもできないから!ハヤトを床に座らせとくわけにいかないし」

ちゃん優しい…。じんわりしてきた名目を擦って、ちゃんをグイッと抱き上げた。お姫様だっこってやつ。ちゃん軽いなあ。そのままベッドルームへ連れていき、マットレスの上に優しく下ろしてあげた。

「ん」

すぐさま彼女の腕がボクに伸びてくる。
ボクは躊躇うことなく、その腕に導かれるようにちゃんを抱きしめた。
そしてそのまま額にキス。

「早くよくなってね」
「動機が不純じゃない?」
「そんなことないにゃ」
「えーっどうかなあ」
「むぅ…ちがうもん!」
「ふふ、ごめんごめん」

ボクのことをギュッと抱きしめてくれたその細い腕の体温が心地好くて。
癒しにきたはずなのに、ボクが癒されてる。

「一日でもはやくよくなりますように!」

今度はボクがちゃんをギュッと抱きしめて、いっぱいいっぱいパワーを送ってあげた。


明日の君の笑顔のために



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