彼女は、どうしても私を混乱させる原因でしかない。
そのくるくる変わる表情も、子供のような感情表現も、ふとした瞬間に見る女のそぶりも。私の心を掻き乱してやまないのだ。

「なにしてるの?」
「………、」

べつになにもしていなかった。珍しくぼーっと物思いにふけていただけだ、多分そんな私が物珍しかったのだろう、私の顔を覗き込むは疑問符を浮かべていた。

「…、今日はなにか予定はありますか?」
「べつにないよ?」
「…それじゃあ少し付き合ってください」

私がこの言葉を言えば、部屋に行きますという合図だということは彼女も既にわかっている。の部屋の同居人は、2月前に学園を去ったのだ。彼女は寂しそうにしていたが、私には好都合だった。

自分でもあまりにも幼稚だと思う。なんせ今、放課後にの部屋にきた理由は、嫉妬心からきたものでしかないからだ。唇が晴れ上がるのではないかというぐらいに口づけを交わし、朦朧とする彼女を支えながら、それでもまだ唇を解放する気にはなれない。
が悪いのだ。今日、HAYATOが好きだなんて、楽しそうに友人と会話していたから。

「ボクのことが好きなのかにゃ?」
「!?トッ…トキヤ!?」
「トキヤよりもボクのほうが好き?ねえ、教えて?」

挑発するようにいえば、赤らんだ顔をさらに真っ赤にさせてしまう。そして私から視線を外して、俯いてしまった。顔を上げさせようと手を顎に添えたとき、

「トキヤ…だから……、HAYATOも、好きなの」

そのまま顔を上げさせて口づけた。



君の気持ちぐらい

(本当はわかっていました)






 

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