午前2時をまわったところで、ようやく家に帰ってきた。今日は春ちゃんと新曲の話で盛り上がっちゃって帰宅が随分遅くなってしまったな…。
トキヤは明日の朝早いって言ってたから、もう寝ているだろう。私のことを考えて、リビングの電気はついていた。
とりあえずシャワーを浴びて、寝支度をしてからベッドルームへ。やっぱりトキヤはすでに布団に包まってすやすやと規則正しい寝息をたてていた。
もぞもぞと彼と同じ布団に潜り込む。ベッドはセミダブルなので安心していただきたい。
私の方に横向きになって眠るトキヤの頭を、そっと撫でた。

「…ん……」
「あ」
「………?」
「ごめんね、おこしちゃったね」

ごろんと私も枕に頭を預ける。トキヤの開ききっていない目が、私をぼんやりと見ていた。
すると、ゆっくり彼の腕に抱きしめられて、唇にキスをされる。触れるだけの、しかも唇な中心からは少し外れてしまったあやふやなキスだった。
そんなキスが3回ぐらい連続した後に、彼は私を抱き寄せて何も言わずに再び眠りにつく。
一連の流れの中で、私はなにもできないまま、寝ぼけた彼の好きなようにされてしまった。きっと朝起きてトキヤは今のことを覚えていないだろう。
暖かい温もりに包まれて、私も安堵感に満たされながら夢の中へと意識を手放した。


幸せなキスをしよう







 

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