「…ハァ」
「どうしました?疲れた顔をしていますね」
「最近仕事溜まってたし忙しくてね…」

トキヤが久々にオフで私も仕事が一段落したので、2週間ぶりにまったり過ごしている。私の部屋のリビングのソファに並んで座って、紅茶を飲む。日差しがあったかくて寝てしまいそうだ…。

「おや、足がむくんでいますね」
「そうなのよ…昨日は日向さんにどうしてもって言われて、立ちっぱなしで受付けしてたもんだから…」
「ちょっと横になってください」
「そんなことしたら寝る」
「それは困ります。でもとりあえず横になって、私の膝に足を乗せてください」
「え」

今となってはトキヤも売れっ子アイドルである。そんな彼の膝の上に足を載せるなんて、申し訳なくてやりにくい。どうしようか困っていると、いいから早くと急かされて、結局トキヤがお望みの状態になった。

「わ、なに」
「なにって、マッサージを」

いきなりトキヤが私のふくらはぎに触れるものだから、ぞくっとしてしまった。ちなみに私は部屋着のショートパンツなので、ふくらはぎはもちろんのこと、太ももまで露出している。

「おや、もしかして感じt」
「ちちちちがいます!びっくりしただけですほんとです!!」
「…まあいいでしょう。ほぐしてあげますから、じっとしていてくださいね。少しは楽になると思いますので」

そう言って、トキヤは私のふくらはぎに手をかけ、ゆっくりほぐしはじめた。ああ、なんだか心地好いこの感覚…指圧が丁度よくて気持ちいい。寝ちゃいそ、

「寝たらだめです」
「あまりにも気持ちいいのでつい」
「それはよかった。本当は風呂に浸かってほぐすのがいいんですけど、さすがに怒られそうなので」
「怒るに決まってるでしょ…このセクハラ大魔王…」
「素晴らしい称号をありがとうございます」
「褒めてない!」

いいから静かにしていてください、そう言われて、私はクッションを抱きしめた。トキヤが手の動きを再開する。ああやばい、また睡魔が。もしかしてトキヤって睡魔王なんじゃ、

「いたたたたたたたた!!」
「不健康ですね」
「あだだだだだ痛い痛い痛い痛い!!」

トキヤが思いっきり足の裏を指圧してきた。いわゆる足ツボマッサージってやつ。足の裏から強烈な痛みが生まれる。私が喚いてもトキヤはやめる気配をこれっぽっちも見せてくれない。

「痛いよやめて!」
「あなた寝るじゃないですか」
「それはあまりにも指圧が気持ち良くて!」
「足の裏もほぐしたほうが楽になりますよ」
「いいですいいからいたたたたたたたたたた!!!」

結局、そんなやりとりを何回も繰り返し、5分ほど痛い目にあわされた。でもそのお陰で足の疲れがだいぶ取れたので、トキヤには一応感謝をしておこう。


in the early afternoon




 

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