ついさっき、トキヤからメールがきた。内容は、今日の帰宅時刻が大幅に遅れるというもの。
今日のトキヤの本来の帰宅時間は、夜の10時だった。ドラマの関係者の方々から食事に誘われたらしく、早くても日付を超えるだろうとのこと。
トキヤは私が不審に思わないように、できる限り内容を教えてくれる。お仕事の延長なら仕方ない。先に寝ていてくださいってトキヤも言ってるから、さっさと寝支度をしてしまおう。
時計は既に10時30分を知らせていた。今日は仕事か立て込んでいて、私もいつもより疲れてしまった、早く寝よう。
歯磨きを終え肌にクリームを塗り、明日のスケジュールを確認してベッドへ。トキヤと2人で寝るためのダブルベッド。トキヤが左側で、私が右側である。自分の定位置に潜り込んでベッドサイドのランプをつけると、時計の短針が12時のところにあるのが見えた。
程よいマットレスが私の睡魔を呼び起こす。瞼を閉じてすぐに、私は意識を手放した。





「ん…」

けだるい体、重たい頭。瞼はまだ閉じたままだが、せっかく夢の中にあった意識が戻ってしまった。このまま眠ろうかと思ったが、寝る前はトキヤがいなかったことを思い出す。トキヤが帰ってきたか確認するため、私は瞼を開けた。

「おや、目が覚めたのですか?」

ベッドサイドの電気だけがついた部屋。私の左隣で、トキヤが俯せの体勢で横になっていた。肘を枕について、片手は彼の顎を支えている。私を見下ろす視線は柔らかかった。

「トキヤ…おかえり」
「ただいま」
「おこしてくれてもよかったのに…」
「あまりにも可愛らしい寝顔でしたので」

そう言って笑うとトキヤは静かに横なり、頭を枕に沈めた。こちらを向いて、私の頭を撫でてくる。それが心地好くて、うとうとしてしまう。

「…何時?」
「今ですか?2時ですよ」
「帰ってきたのは?」
「1時ぐらいでしたね」

トキヤが帰ってきたの全然気づかなかったなあ…なんて考えていたら、彼の腕が私を包み込んできた。細いけれどもしっかり筋肉がついたしなやかな腕。あったかくて、私にとって一番落ち着ける場所だ。もう瞼は開きそうになかったけれど、突然額にキスが落ちてきてうっすら目を開けた。

「明日はオフを貰えたんです」
「えっ」
「あなたもオフでしたよね、一緒に過ごしましょうか」
「も、もちろん…!」

朗報に思わずトキヤを抱きしめた。彼の手の平がまた私の頭を撫でる。私は今度こそ、本日二度目となる夢の中へ意識を落とした。



ミルキー・ラブ





 

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